【column】免疫を整えて元気に1年を乗り切ろう!
2026.01.16
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「免疫」って何だろう?
私たちは常に、細菌やウイルス、真菌や寄生虫などが体内に侵入・増殖する危険にさらされています。もちろん猫だって同じです。もしそういったものを易々と体に侵入・増殖させてしまったら、簡単に感染症にかかってしまいます。
「免疫」とはこういうことが起こらないように体を守るシステムのことです。その機能として大きく次の4つが挙げられます。
①病原体を侵入・増殖させないようにする
②一旦体内に侵入した病原体に即反応する
③「自己」と「非自己」を見分ける
④異常な「自己」を見分ける
免疫は「自然免疫系」と「獲得免疫系」に分けられます。自然免疫は生まれつき体に備わっているもの、そして獲得免疫は後天的に特定の病原体だけを攻撃してそれを記憶し、再度その病原体を認識した場合、迅速かつ強力に排除するシステムです。「免疫記憶」と言われるこの機能は、ワクチンの仕組みの根幹となっています。
獲得免疫ではさらに液性免疫、細胞性免疫と分かれますが、この二つは病原体を排除するメカニズムが異なります。たくさんの免疫細胞が関わっていますが、リンパ球の中のB細胞とT細胞が主役です。液性免疫ではB細胞が主体となり、体液の中に侵入した病原体を様々な方法で排除し、細胞性免疫では、主にT細胞が病原体に感染された細胞を直接攻撃し破壊します。
さて、私たちはよく「免疫力」という言葉を耳にします。ただ、この免疫力という言葉、実は医学的には存在せず、「免疫力を上げる」とは「免疫機能(システム)を整える」とか「免疫機能を強化する」という言い方が正しいのです。「力」ではなく「システム」。免疫を理解するとなるほどと腑に落ちますね。
免疫機能のバランスが崩れるとどうなるの?

疲労や睡眠不足、ストレスや栄養不良などが重なると、免疫機能が低下します。そうすると当然病原体に対する防御機能が落ちてしまうので、感染症にかかりやすくなったり、病状が悪化したり長期化したりします。また、皮膚のバリア機能も低下するので、アトピー性皮膚炎やアレルギーを持っている場合は、症状が悪化する可能性があります。
また前述の通り、免疫の機能として「自己」と「非自己」を見分けますが、このシステムがうまく働かないと、本来「自己」つまり自分自身であり自身を構成する成分であるものを「敵」と認定し、体から排除しようとするようになります。こういうことが起こる疾患を「自己免疫性疾患」と言います。
例えば、免疫介在性溶血性貧血や免疫介在性血小板減少症などの場合、自分の赤血球や血小板を攻撃・破壊してしまうため、貧血が起こったり出血しやすくなったりします。場合によっては命に関わることもありますので、早急な対応が必要になります。
免疫機能を強化するにはどうすればいい?

近年腸内環境を整えると免疫が強化される、いわゆる「腸活」が話題となっています。実は免疫に関わる細胞のおよそ70%が腸に集まっているため、腸内環境を整えることは免疫機能を整えることに繋がります。腸内環境を整える=腸内の細菌叢(さいきんそう)のバランスを整える、であり、そのためにはいわゆる善玉菌と呼ばれる細菌を増やすことが必要となります。善玉菌が増えることで、腸管内の免疫細胞が適切に刺激され、体全体の免疫機能が強化されるようになります。
善玉菌を増やすには、ヨーグルトなどの発酵食品や、食物繊維やオリゴ糖など善玉菌のエサとなる食品(野菜や果物、海藻、豆類など)を摂ることが推奨されます。また免疫乳酸菌という、特に免疫機能の調節や活性化に関わる働きが科学的に証明されている特定乳酸菌があります。そういったものを普段の食生活に取り入れてもいいですね。
免疫システムにおいては様々な栄養素が関わってきますが、アルギニンやタウリンはどちらも猫は食事から摂取する必要があります。これらが欠乏すると免疫機能が低下する可能性があるので注意が必要です。
でも免疫機能を整える上で一番大切なのは、質の良い睡眠、バランスの取れた栄養摂取、ストレスの解消、適度な運動です。ストレスのない規則正しい生活を送ることで、病気知らずの健康で丈夫な体を手に入れたいですね!
Written by
監修医 小林 充子 先生
麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。






