愛犬に魚肉ソーセージをあげていい?注意点や食べるリスクを解説
2025.11.14
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魚肉ソーセージは魚のすり身から作られ、手軽で美味しいため、家庭でも身近な食品です。 そのため「体によさそうだし、愛犬のおやつや手作りごはんに使えるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、人間向けに加工された食品であり、わんちゃんが食べるのは控えたほうがよい食品です。本記事では、魚肉ソーセージに関する注意点や、誤って口にした場合に考えられるリスクについて解説します。
わんちゃんは魚肉ソーセージを食べられる?

魚肉ソーセージを愛犬にあげるのは、基本的にはおすすめできません。人間向けに加工された食品であり、塩分・保存料・香辛料などが多く含まれているため、わんちゃんの健康に影響を及ぼす可能性があります。
無添加タイプであっても安心できるとは限りません。一般的に「無添加」とは保存料・着色料・化学調味料を使っていないことを指しますが、実際には塩や油などの調味料を使って加工されているケースがほとんどです。
そのため、無添加と表示された魚肉ソーセージでも、愛犬にあげるのは控えたほうがいいでしょう。
魚肉ソーセージに含まれる成分と注意点
ここでは、魚肉ソーセージに含まれる成分がどのように影響するかや注意点をまとめました。愛犬にあげようか迷っている方は、ぜひ先に確認してください。
塩分・保存料による体への影響
魚肉ソーセージに含まれる塩分は、人間向けに味を調えるためのものです。わんちゃんが食べると体内の電解質バランスが崩れやすく、脱水や高血圧の原因になることも。心臓や腎臓に疾患を抱えている場合は、症状を悪化させる危険があります。
さらに、保存料(ソルビン酸、リン酸塩など)は、継続的に摂取すると肝臓や腎臓の働きに影響が出るおそれがあると指摘される成分です。体質によっては少量でも影響を受けやすいわんちゃんもいるため、魚肉ソーセージはあげない方がよいです。
ビニール包装の誤食リスク
魚肉ソーセージは中身の成分だけでなく、外装のビニールや金属の留め具など包装部分にも注意しましょう。丸ごと口にしてしまうと、薄いビニールが体内に残り、腸閉塞を引き起こすおそれがあります。
腸が閉塞すると、食欲の低下・嘔吐・強い腹痛や下痢などの症状が現れ、放置すれば命に関わる深刻な状態に進行するリスクもあり、緊急手術が必要となります。さらに、金属クリップが付いたタイプでは、消化管を傷つけて出血や腸に穴があく恐れもあります。
誤食事故を防ぐためには、魚肉ソーセージをわんちゃんの口が届かない場所で管理することが大切です。
アレルギーの可能性
魚肉ソーセージの主原料である魚のすり身には、パルブアルブミンというタンパク質が含まれており、これがアレルゲンとなってアレルギー症状を引き起こすわんちゃんもいます。
代表的な症状は、皮膚のかゆみや赤み、発疹、耳や目の炎症などの皮膚トラブルのほか、下痢や嘔吐といった消化器症状です。さらに、同じ魚種を繰り返し摂取することで症状が悪化し、慢性的な皮膚炎や下痢、体調不良につながることもあります。
さらに、豚肉や鶏肉などの動物性たんぱく質や卵白を含む魚肉ソーセージもあり、これらがアレルギーの原因となるリスクもあるため注意が必要です。
オニオンエキスに注意
一部の魚肉ソーセージには、オニオンエキス(玉ねぎ由来の成分)が原材料として使用されている商品があるため注意が必要です。赤血球を壊す作用があり、貧血や血尿などの中毒症状を引き起こす危険性があります。
魚肉ソーセージに含まれるオニオンエキスは微量ですが、愛犬に食べさせるのは避けておきたい成分です。
子犬やシニア犬に魚肉ソーセージは大丈夫?

子犬やシニア犬は成犬に比べて消化機能や免疫力が未発達、または低下しているため、体への負担が大きくなりがちです。
魚肉ソーセージのように塩分や保存料を含む加工食品は、消化器官に強い刺激となり、下痢や嘔吐などの不調を招くおそれがあります。
わんちゃん用ソーセージなら大丈夫?

市販されているわんちゃん用ソーセージには、魚肉や鶏、野菜などを原料にしたものがあります。人間用と違って、玉ねぎ由来の成分や過剰な塩分・保存料は含まれていないことが多く、わんちゃんが食べても問題のない食品です。
一方で、カロリーや脂肪分は高めであるため、常習的に取り入れる食品としては向いていません。肥満や体調不良のリスクもあり、食べる量には注意が必要です。
さらに、初めて試すときにはアレルギーの可能性にも気を付けましょう。愛犬の体に合った成分かどうかを確認し、少量から食べさせて様子を見ることが大切です。
魚肉ソーセージ以外で注意したい食材

魚肉ソーセージ以外にも、わんちゃんが口にすると危険な食材があります。人間には問題なくても愛犬の体には有害に働く場合があるため、注意が必要です。
とくに家庭でよく使われるものは誤食のリスクが高く、身近だからこそ気をつけなければなりません。以下に代表的な食材をまとめます。
- ・チョコレート
- ・ネギ類(玉ねぎ、長ねぎ、にら、にんにくなど)
- ・ブドウ(レーズン)
- ・香辛料(トウガラシ、わさび、コショウなど)
- ・エビ、かに、イカ
- ・カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶)
- ・キシリトール
これらは中毒や消化不良を引き起こす可能性があり、少量でも危険とされています。
まとめ

魚肉ソーセージは人間向けに加工された食品であり、わんちゃんにとっては塩分や添加物、包装の誤食リスクなど多くの問題点があります。そのため、基本的には食べないほうが望ましい食品です。どうしてもソーセージを取り入れたい場合は、わんちゃん用に作られた商品を選び、量を控えめにすることが大切です。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。






