犬は夏バテをする?わんちゃんの夏バテの症状や対策方法を解説
2025.11.05
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夏の暑さは、愛犬の体にも大きな負担を与えます。特に夏バテは、放っておくと食欲不振や体力低下、熱中症のリスクを高めることも。本記事では、わんちゃんの夏バテのサインや原因、夏バテ対策をわかりやすく解説します。
わんちゃんも夏バテをする

わんちゃんは汗腺が少なく、体温調整のほとんどをパンティング(口を開けてハァハァする動作)や足裏の肉球から行っています。真夏のような高温多湿の環境では、この体温調整がうまくいかず、夏バテのような症状が出ることがあります。
夏バテは熱中症と違って徐々に体調に変化が出てきます。主に食欲が落ちる、元気がない、動きが鈍い、呼吸が荒いなどの症状がありますが、これらの症状は夏バテだけではなくその他の疾患が隠れている可能性もあります。
また状態が悪くなっている場合は脱水症状、熱中症、内臓疾患など命に関わる状態である可能性もあるので、愛犬の体調の変化に気づいたら、早めの受診をおすすめします。
わんちゃんの夏バテの主な原因

わんちゃんが夏バテをすることは知っていても、どのような原因が夏バテの症状を引き起こすのかは分からないという方もいるでしょう。ここでは、わんちゃんの夏バテの主な原因を解説します。
気温や湿度の高さによる体温調節機能の低下
わんちゃんは汗腺がほぼ肉球にしかないため、パンティングで体温を下げるのが基本です。しかし、高温多湿ではこの放熱が追いつかず、体温が上昇してしまいます。
特に湿度が70%以上になると、さらに体温が下がりにくくなり、夏バテや熱中症のリスクが急上昇してしまうので、湿度が高い日は要注意です。
食欲減退による栄養不足
わんちゃんは暑さによって食欲がなくなってしまうことがあります。これは、体温が高い状態では消化機能も低下してしまうためです。
食欲が減退したことによって栄養不足になると、筋力や免疫力が落ち、疲労回復も遅くなります。その結果、少しの暑さや運動でも疲れやすくなり、さらに食欲が落ちるという悪循環に陥ってしまうのです。
散歩や運動不足による体力低下
真夏は地面の温度が高くなり、昼間の散歩が危険になるため、どうしても運動量が減りがちです。運動不足は筋力・心肺機能・消化機能を弱めるだけでなく、暑さに耐える力も落ちてしまいます。
さらに、運動量が減ることで新陳代謝が下がり、体温調節がしにくくなるケースも。普段から体力が少ない子犬やシニア犬では、より注意が必要です。
冷房の効きすぎによる自律神経の乱れ
夏場は涼しい室内と炎天下を行き来することで、自律神経が乱れやすくなります。冷房の効いた部屋で長時間過ごすと、その状態に慣れてしまい、外に出たときに急な温度差に対応できなくなります。
また、直接冷風が当たる位置で過ごすと体が冷えすぎ、血流や内臓機能が低下することも。これが食欲減退やだるさなどの夏バテ症状につながります。
わんちゃんのための夏バテ対策

愛犬のために夏バテ対策をしてあげたいけれど、何をしたら良いか分からないと悩む方も多いでしょう。ここではわんちゃんのための夏バテ対策を紹介します。愛犬にあった方法を取り入れてみてください。
こまめな水分補給を意識
わんちゃんの夏バテ対策には、水分補給が不可欠です。新鮮な水がいつでも飲めるように、お家の複数箇所に水飲み場を設置するといいでしょう。
それでも水分摂取量を増やすことが難しい場合は、食事から水分補給をするのもおすすめです。いつものご飯にウェットフードを取り入れたり、犬用のミルクやゼリー状のおやつをあげて水分補給をするようにしましょう。
こまめなブラッシングやシャンプーケア
こまめなブラッシングやシャンプーなどのケアで毛玉や抜け毛を取り除くことも重要です。そうすることで、体温の上昇や熱がこもるのを防ぐことができます。
シャンプーをする際は水温を下げて、ぬるま湯程度でケアしてあげましょう。
冷房の温度設定に注意
わんちゃんが過ごす部屋の室温は、25〜27℃程度に設定しましょう。涼しすぎると体が冷えて自律神経が乱れ、夏バテの原因になります。
また、エアコンの風が直接当たらない位置にベッドやケージを置くことも大切です。湿度は50〜60%を保つよう加湿器や除湿機を活用しましょう。
散歩の時間帯を工夫
真夏のアスファルトは夕方でも40℃以上になることがあり、肉球の火傷や体温上昇の原因になります。早朝や日没後の涼しい時間帯を選び、地面の温度を手で触って確かめてから出かけましょう。
それでも暑くて散歩へ行けない時は、室内運動を取り入れるといいでしょう。愛犬がお気に入りのおもちゃで、引っ張り合い遊びやボール遊び、宝探し遊びなどをするのもおすすめです。
食欲がないときの無理な食事は避ける
夏バテで食欲が落ちているときは、無理に食べさせず、ゆでたささみやウェットフードなどをトッピングする方法がおすすめです。また、ささみの茹で汁やぬるま湯でドライフードをふやかしてあげるのも良いでしょう。
また、1回で少量しか食べられない場合は、1日分を少量ずつ数回に分けてあげることで、消化負担を減らしつつ必要な栄養を確保できます。
まとめ

夏の暑さと湿気は、人間だけではなくわんちゃんにとっても負担になります。「最近ごはんの食べっぷりが良くない」「なんだか元気がない」そんなときは、夏バテを疑うのもひとつの方法かもしれません。本記事で紹介した夏バテ対策をチェックし、愛犬の健康を守りましょう。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。






