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【column】可愛いだけじゃない!肉球のヒミツ

肉球って何だろう?


触感といい形といい、つい触りたくなる、そんな魅力を持つ肉球。今回はそんな肉球について、様々なヒミツを探っていきたいと思います。
肉球は「蹠球(しょきゅう)」と言われる足裏の皮膚の一部です。前肢と後肢で名前が異なりますが、爪の根本に小さな肉球が4つ(前肢は5つ)、手のひらにあたるものが1つ、さらに前肢には手首に当たる部分にもう1つあります。肉球は皮膚の一部ですので、その構造は基本的に皮膚と同じですが、皮膚とは異なる役割がたくさんあります。

まず肉球にはハニカム構造と言われる特徴的な構造が見られます。これは正六角形をはじめとする立体図形を隙間なく並べたもので、段ボールを断面に切ったときに見られる構造を想像していただくといいでしょう。小さな面積で大きな力を支えられているのはこの構造のお陰と言われています。また皮下組織に強固なコラーゲン繊維に囲まれた脂肪がたくさん存在し、これらが足にかかる衝撃をクッションのように吸収します。

犬の肉球の表面は触ると少しザラザラしていると思いますが、これはスパイク状の突起(表皮乳頭〈ひょうひにゅうとう〉)があるためです。これは地面に接する面積を少なくするための構造で、冷たいという感覚を和らげるためと言われています。さらに犬の肉球には動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう)という動脈と静脈を直接結ぶ血管があり、冷たい地面に接した時、足先の血流量を増やし、動脈血の冷えすぎを防ぎ、足先の凍傷や低体温症の予防をしています。
これらの機能は、犬の祖先が寒冷地に生息していたハイイロオオカミだったことが影響していると考えられていますが、この構造があるからこそ、雪の上を喜んで駆け回ることができるのですね!

そして肉球には「エクリン腺」という汗をかく組織が分泌しています。体温調節のために汗をかくことはできますが、発汗できる量はそれほど多くないので、どの程度体温を下げることに効果が出ているかは不明です。その他緊張やストレスにより発汗する場合もあります。

肉球の色って変化するの?


みなさまはうちの子の肉球の色が少しずつ変化していることに気付かれたことはありますか? 実はどんな犬種でも、子犬の時の肉球はピンク色であることが多く、その後徐々に変化していきます。最終的にどんな色になるかは、遺伝と外部刺激によって変わります

元々メラニン色素が少ない白の被毛の犬は成長してもピンク色のままであることが多く、またメラニン色素の多い黒の被毛の犬は、成長に従い黒く変化していきます。その他の色の被毛の子は、それぞれどの程度メラニン色素を含んでいるかによって、肉球の色がマーブルになったりブチ模様になったりします。
ちなみにメラニン色素の中でもB遺伝子を持つ子は黒い肉球・鼻になりますが、b遺伝子(チョコレート色など)を持つ犬は肉球や鼻が茶色になります。

成長に伴い外を歩くことによって、肉球は紫外線をはじめ様々な刺激を受けます。散歩の時間が長い犬は必然的にメラニン色素の分泌が多くなりますし、様々な状態の地面を歩いて刺激を受けることでも肉球の色は変化していきます。こういった色の変化は正常な変化ですので、慌てることはありません。

健康な肉球を維持しよう!


分厚く丈夫にできている肉球ですが、地面に直接触れる器官ですので様々なトラブルが起こる可能性があります。何らかのアレルギーや怪我、お散歩中に肉球の間に何か挟まるなどすると、犬たちは違和感や痒みを感じてよく舐めるようになります。その結果炎症を起こし赤く腫れることがあります。そういう場合はかかりつけの先生に相談しましょう。

散歩の後には足を洗うと思いますが、ゴシゴシ洗いすぎたり、洗った後十分に乾燥させず湿ったまま放置することは肉球トラブルの原因となります。しっかり乾燥させた後、保湿クリームやオイルを使ってケアしてあげましょう。またシニア犬の肉球は乾燥してひび割れが見られることが多いので、しっかり保湿してあげましょう。
肉球はとても大切な器官の一つです。健康な状態に保って日々快適に過ごしてあげたいですね!


Written by
監修医 小林 充子 先生

麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。

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