お知らせ一覧犬猫通信 for CAT【column】シニア期を迎えたら 食事でもっと健康に!

【column】シニア期を迎えたら 食事でもっと健康に!

何歳から「シニア」になるの?


猫たちの一生は私たち人間の一生に比べるととても短い、ということはみなさまもご承知の通りかと思います。アニコム損害保険会社が毎年発行する「家庭どうぶつ白書2024」によると、猫全体の平均寿命は14.5歳。猫種によって多少差があり、ミヌエットが10.6歳、メイン・クーンが12.8歳となっていますが、アメリカン・ショートヘア、ブリティッシュ・ショートヘアなどは13.7歳、日本猫や雑種は15歳程度です。

では猫のシニア期は何歳頃からなのでしょうか?7〜10歳は中高年期、11〜14歳が高齢期、15歳以上が老齢期と分類されていますので、いわゆるシニア期は11歳頃から、ということになります。ただ、7歳を超えると睡眠時間が長くなる、口臭がする、爪研ぎの回数が減る、グルーミングの時間が短くなるなどの小さな変化が見え始めます。高いところにあまり登らなくなる、飛び降りる時に少し躊躇するようになる、活発に活動する時間が短くなるなど、関節の痛みや筋力の低下が見られるようになることもあります

シニア期を迎える前に、今一度見直しておきたいこと


年齢を重ねていくと様々な変化が出てきますが、それが「変化」だと気付くためには、それまでのその子の様子をしっかり観察しておく必要があります。今回は「食」に特化してお話ししますので、食事に関してどういうところを観察しておけばいいのか、考えてみましょう。

みなさまは今食べさせているごはんのことをどのくらいご存知ですか?カロリー、タンパク質量、脂肪量などの栄養素、主となるタンパク質の種類、場合によっては産地などある程度把握されているでしょうか?また今のごはんを食べさせるようになってから、体重の変化はありますか?筋肉のつきかたなど体つきに変化はないでしょうか?

1日を通していつが一番よく食べるのか、また食べる速度はどのくらいか、食べ物を飲み込む時に頭を大きく振ったりしていないか、しっかり咀嚼して食べているか。またドライフードの粒の大きさの好みはどうか、お肉とお魚どっちの方が好きなのか、ウェットフードは常温と温めたものどちらが好みか、ムースがいいのか、スープがいいのか、挙げ始めるとまだまだたくさんありますが、そういった好みをご存知でしょうか?

もしご存知でないなら、一度しっかり観察してみて下さい。それが今の「普通」であり、それを把握できていれば、変化が出た時に気付きやすくなります。また1日におよそ何mlの水を飲んでいるかといったことも把握しておくといいですね。

健康診断を受けましょう!


シニア期に入ってきたら、健康診断を受けましょう!健康診断の内容に関してはかかりつけの先生とご相談なさるといいと思いますが、健康診断の結果次第で、今後起こり得ることを予想することができます。

例えば、今はまだ正常範囲内で治療するほどではないけれども、年齢を考えると腎臓の数値が少し高めかもしれない、ということがわかれば、尿素窒素(BUN)の上昇を防ぐため、動物性タンパク質の量が少し控えめなドライフードへの変更を検討しましょう。また腎臓への負担を減らすために摂取水分量を増やしたいのであれば、単に水を飲ませるだけでなく、ごはんの一部をウエットフードやスープなどに置き換えるなど、色々な方法で水分を摂取するといいですね。

ただ年齢を重ねると免疫力が落ちてきますので、急な変化に体が対応できないことがあります。ごはんの変更も少しずつ、気長にやっていきましょう。1回の食事量が少なくなって残すようになったり、食べる時の様子が今までと違っていたり、元気だけれどもよく嘔吐するようになったり、便が少し柔らかくなるなど、ちょっとした変化を見つけた時は、本当にそのごはんが合っているのか今一度検討する必要があります。

食べることは生きること。ごはんをおいしく楽しく食べてくれることが何より大切です。まずはその子の好みをしっかりと把握し、その上でこれから起こり得る病気の予防ができるような食生活に変更していくことが、長生きの秘訣かもしれませんね!


Written by
監修医 小林 充子 先生

麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。

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