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愛犬に生イカをあげるのはNG!食べてしまった時の症状や対策を解説

2025.08.31

コラム

お刺身やお寿司などでおなじみのイカですが、実はわんちゃんにとっては危険な食べ物のひとつです。生のイカは愛犬が食べるとアレルギーや寄生虫感染のリスクがあり、激しい腹痛を引き起こすことも。

本記事では、生イカが愛犬に与える影響や注意点、万が一食べてしまった際の対処法を詳しく紹介します。

愛犬は生のイカを食べるとどうなる?

うっかり目を離したすきに、愛犬が生のイカを食べてしまうと不安になる飼い主の方もいるでしょう。実は、生のイカには犬にとって危険な成分が含まれていることがあり、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

アレルギー症状の発生

生のイカは、わんちゃんにとって命に関わる危険な食材です。愛犬が食べると「ビタミンB1欠乏症」を引き起こすおそれがあり、進行すると神経障害やけいれん、最悪の場合は死に至ることもあります

原因は、イカに含まれる酵素「チアミナーゼ」です。この酵素は、体内にあるビタミンB1を壊してしまいます。

ビタミンB1は、細胞がエネルギーを作り出すために必要な栄養素で、特に脳や神経の働きを保つうえで重要な栄養素です。水に溶けやすく、体の中にとどまりにくいため、毎日の食事からこまめに補う必要があります。

ビタミンB1が不足すると、食欲不振や嘔吐などの初期症状に始まり、ふらつきやめまい、運動失調といった神経症状が発生。体のけいれんや麻痺、心臓への負担といった重い障害につながるおそれがあります。

とくに注意したいのは、足腰のふらつきです。神経系が正常に働かなくなることで起きるもので「犬がイカを食べると腰を抜かす」と言われる原因にもなっています。

なお、「新鮮なイカにはチアミナーゼが少ない」とする説もありますが、正確な判断は難しく、安全性も証明されていません。生のイカは愛犬に絶対にあげないようにしましょう。

アニサキスの寄生

生のイカや魚介類には、アニサキスという寄生虫が潜んでいる可能性があります。とくにアジやサバ、サンマなどに多く見られ、生のまま食べた場合、愛犬が感染するおそれも否定できません。

体内に入ったアニサキスは胃や腸の壁に侵入し、嘔吐や激しい腹痛などの症状が発生することがあります。人間でも同様の被害が報告されており、胃潰瘍と間違えて受診するケースも少なくありません。

アニサキスによる感染を防ぐには、加熱や冷凍によって死滅させることが重要です。愛犬にイカや魚を与える場合は、必ず充分に加熱したうえで食べさせるようにしてください。

生のイカを食べてしまった時の対策

愛犬が生のイカを誤って食べたり、舐めたりした場合は、まず冷静に行動することが大切です。無理に吐かせようとするのはかえって危険で、喉や食道を傷つけるおそれがあるため、必ず獣医の判断を仰ぎましょう。

誤食を防ぐには、日常的なイカの保管にも十分な注意が必要です。もし食べてしまった場合は、アニサキスやチアミナーゼの影響を考慮し、しばらく愛犬の様子を観察してください。

嘔吐やふらつき、元気がないなど、いつもと異なる状態が見られた場合は、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。

愛犬は加熱したイカなら食べられるが注意が必要

焼く・茹でるなど適切に加熱することでチアミナーゼの働きはほとんど失われ、アニサキスも死滅します。ただし、消化や塩分の面で懸念があり、わんちゃんに食べさせるのはおすすめできない食材です。ここでは、加熱したイカがもたらす影響や注意点を解説します。

消化に悪い

イカはわんちゃんにとって消化しづらい食材とされています。とくに胃腸の弱いわんちゃんには負担が大きく、下痢や嘔吐を引き起こす可能性も。

消化される前に胃腸内に詰まって腸閉塞を起こすおそれがあるため、充分に加熱した後、細かく刻んでからあげるようにしてください。

スルメイカやアタリメは塩抜きしてから

乾燥したスルメイカやアタリメを、そのまま愛犬に食べさせるのは控えてください。市販の乾燥イカには塩分や添加物が加えられていることが多く、大量に摂ると腎臓に負担がかかるおそれがあります。

どうしても食べさせたい場合は、しっかりと塩抜きしてからあげるようにしましょう。

腎臓や肝臓に疾患がある愛犬にはあげない

イカには豊富なカリウムが含まれているため、肝臓や腎臓に疾患のあるわんちゃんは注意が必要です。腎機能が低下していると体内のカリウムをうまく排出できず、負担がかかるおそれがあります。

ほかにも、特定の疾患があり療養食を食べているわんちゃんや、持病を抱える子犬・シニア犬にもおすすめできません。

そもそも総合栄養食のドッグフードを食べているわんちゃんであれば、日常の食事で必要な栄養素は十分に足りている状態です。イカをあげることで栄養が偏り、一部の栄養素を過剰に摂ってしまうおそれがあります。

まとめ

生のイカは、アレルギーや寄生虫感染、ビタミンB1欠乏症など、わんちゃんにとってさまざまなリスクを伴う食材です。誤って口にした場合は、体調の変化がないかを注意深く観察し、少しでも異常があればすぐに動物病院を受診してください。

加熱することでいくつかの危険性は軽減されますが、消化しづらく体に負担がかかる場合もあります。あえて食べさせる必要のない食材と考え、日頃からしっかり管理することが大切です。


Written by
監修医:小島 麻里 先生

犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。

 

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