犬にタコはNG?知らないと怖いリスクと正しい対処法
2025.09.04
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愛犬が人間の食べ物を欲しがるとき、ついおすそ分けしてしまいたくなりますよね。しかし「タコ」は要注意な食材のひとつ。特に生のタコは、犬の体に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。本記事では、タコが犬に与えるリスクや、もし食べてしまったときの対処法を詳しく紹介します。
わんちゃんがタコを食べるのは基本的にNG
タコには高タンパクでビタミンB12やビタミンEなどの栄養素が含まれており、一見健康的な食材に思えるかもしれません。しかし、生のタコには「チアミナーゼ」という酵素が含まれており、これはビタミンB1(チアミン)を分解してしまう働きがあります。
ビタミンB1が不足すると、犬にとって深刻な健康障害を引き起こす可能性があるため、基本的にはあげない方が安全です。
一方で、加熱によってチアミナーゼは失活するため、調理済みのタコであれば少量なら問題ないともいわれます。しかし、わんちゃんにとっては消化しにくく、タコ特有の弾力や硬さが原因で喉に詰まるリスクもあるため、積極的にあげるべき食材とはいえません。
わんちゃんがタコを食べたらどのような症状が出る?
わんちゃんがタコを摂取したことで引き起こされるリスクのひとつが、ビタミンB1欠乏症です。ビタミンB1欠乏症になると、主に倦怠感や食欲不振や嘔吐、下痢、ふらつきやめまい、運動失調といった神経症状などの症状が引き起こされます。
また、タコは銅を多く含んでおり、銅蓄積症を引き起こす恐れもあります。特にウィルソン病など遺伝的に銅の代謝に問題を抱える犬種には要注意です。
わんちゃんにタコをあげる時の注意点
基本的にはタコをあげることはおすすめできませんが、どうしても少量を与えたいという場合には、いくつかの注意点をしっかり守ることが重要です。ここでは、わんちゃんにタコをあげる時の注意点を紹介します。
生のタコはあげてはいけない
生のタコに含まれるチアミナーゼは、わんちゃんの体に大切なビタミンB1を分解してしまいます。そのため、絶対に生のままあげてはいけません。
生のタコをあげてしまうと、ビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
加工品はあげられない
酢だこやたこわさ、唐揚げなどの加工品には塩分や調味料、添加物が多く含まれており、わんちゃんの体にとっては大きな負担になります。そのため、加工品をあげるのはNGです。
もしタコを使った料理を作ってあげたい場合は、砂糖や塩、調味料を使わず調理してあげましょう。
食べやすい大きさにカットしてあげる
加熱してあげる場合でも、タコの弾力は犬にとって喉詰まりの原因になりがちです。細かくカットして、よく噛んで食べられるように工夫してください。
特に子犬や顎の小さいわんちゃんの場合、喉に詰まらせないように小さくカットしてあげると良いでしょう。
わんちゃんがタコを食べてしまったらどうする?
わんちゃんがタコを食べてしまったら、ご家族もパニックになってしまうでしょう。しかし、食べた量や体調によっては問題ないことも。ここでは、わんちゃんがタコを食べてしまった時の対処法を解説します。
少量の場合は問題ないことが多い
加熱された少量のタコであれば、すぐに症状が出ることは少ないでしょう。食後も元気で、嘔吐や下痢などがなければ、経過観察で済むケースが多いです。
ただし、いつもと違う様子が見られた場合は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
多量の場合や症状が出た場合は急いで受診
もしタコを多く食べてしまった場合や、食欲不振、ふらつき、嘔吐、下痢、神経症状などの症状が見られる場合はすぐに動物病院を受診してください。
これらの症状はビタミンB1の欠乏によって出ている可能性があります。どのくらいの量をいつ食べたか伝えたうえで、指示を仰ぎましょう。
病院ではどのような処置が行われる?
わんちゃんがタコを食べてしまった場合、動物病院ではどのような処置が行われるか気になる方も多いはず。動物病院では、以下のような対応がとられることが多いです。
- ・血液検査:栄養バランスや臓器の状態をチェックする
- ・神経学的検査:ふらつきなどがある場合に実施
- ・ビタミンB1(チアミン)の投与:不足が疑われる場合に実施
早期に対処すれば、ほとんどのケースで回復可能です。異変に気づいたら迷わず受診することが重要です。
まとめ
タコは一見栄養価が高そうな食材ですが、わんちゃんにとってはリスクのある食べ物です。特に生のタコに含まれるチアミナーゼは、ビタミンB1欠乏を引き起こすため、基本的にはあげるべきではありません。本記事を参考に、愛犬と一緒に食べて良いものを確認しましょう。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。