犬は生のカニを食べてはいけない!あげてはいけない理由や対処法を解説
2025.10.05
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愛犬に生のカニを食べさせることは非常に危険です。健康に悪影響を及ぼす成分が含まれており、体調不良を引き起こすおそれがあります。
本記事では、わんちゃんが生のカニを食べてはいけない理由や、誤って口にしてしまった場合の対処法について解説します。
どのくらいの量を食べると危険なのか、どんな症状が見られるかなどもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
愛犬にカニをあげても大丈夫?
加熱調理されたカニを愛犬が少量食べる程度であれば、体に大きな影響が出る可能性は低いとされています。ただし、甲殻類に対するアレルギーのリスクがあるため、あげる際は注意が必要です。
また、加熱済みであっても塩ゆでされたカニは塩分が高く、体に負担をかけるおそれがあります。保存料や着色料などの添加物を含む加工品もあるため、成分表を確認したうえで判断しましょう。
愛犬に生のカニをあげてはいけない理由
生のカニは、愛犬に絶対に食べさせてはいけない食材です。その理由は、生のカニに含まれる「チアミナーゼ」という酵素にあります。
この酵素は、体内のビタミンB1(チアミン)を分解する働きがあり、神経機能や代謝に深刻な影響を与えるチアミン欠乏症を引き起こす原因です。
チアミナーゼは加熱すると働きを失うとされていますが、生のままでは作用が残ったまま体内に入り、健康への悪影響が心配されます。
そのため、生のカニはどんな理由があっても、愛犬に食べさせてはいけません。
生のカニを食べたときの主な症状
生のカニは少量でも体調を崩すおそれがあります。以下は、生のカニを食べたわんちゃんに見られる主な症状です。
【軽度の症状】
- ・食欲不振
- ・嘔吐
- ・体重減少
- ・運動失調
- ・視覚障害
【重度の症状】
- ・むくみ
- ・よだれを多く垂らす
- ・ふらつき
- ・けいれん
- ・意識がもうろうとする
こうした症状はすべて、チアミンが不足することで起こる体の異常です。とくに子犬やシニア犬は代謝機能が弱く影響を受けやすいため、絶対に生のカニを食べさせないよう注意することが大切です。
生のカニはどのくらい食べると危険?
生のカニをどのくらい食べると中毒症状が出るのかについて、明確な基準はありません。体重や年齢、体質によって影響の出方が異なるため「少量だから大丈夫」とは言い切れません。
チアミナーゼは、ひとくちでも中毒を引き起こすおそれがあります。わんちゃんが誤って食べてしまわないよう、カニが食卓に並ぶときは家族全員が注意することが大切です。
調理中に落ちた殻や身を拾い食いしてしまうケースもあるため、キッチン周辺の管理も徹底してください。
カニカマは食べても大丈夫?
人間用のカニカマは、基本的に食べさせてはいけません。塩分や保存料、着色料などの添加物が含まれていることが多く、愛犬の体に負担をかけるおそれがあります。
一方、わんちゃん用として販売されているカニカマであれば、成分が調整されているため食べても問題ないとされています。購入する際は「犬用」や「ペット用」と明記された製品を選んでください。
ただし、どのような商品であっても食べすぎは禁物なので、少量にとどめることが大切です。
愛犬が生のカニを食べてしまった時の応急処置や対処法
生のカニを口にしてしまった場合、適切な対応が必要です。自己判断での処置は危険を伴うことがあるため、落ち着いて行動してください。
以下に、取るべき対応のポイントを紹介します。
無理に吐かせようとしない
残念ながら、生のカニを食べた場合に自宅で行える応急処置はありません。とくに吐かせようとする行為は危険です。カニの殻や爪も食べてしまった場合は胃や食道を傷つけるおそれがあるため、自宅で処置を試みるのは避けてください。
愛犬の状態や食べた量によって対応は異なるため、まずは様子を観察し、変化がないか注意深く見守りましょう。
早期の受診
生のカニを食べた場合や、殻・爪を食べてしまった場合は、異変がなくても早めに受診することをおすすめします。受診時には、次のような情報をメモして持参すると診断がスムーズです。
- ・食べた部位(身・殻・爪など)
- ・食べた量
- ・食べた時間
- ・現在の様子(元気・異変の有無など)
これらの情報は、治療方針を決める際の参考になります。受診時に症状が出ていなくても、チアミン欠乏症は数日後に現れることがあります。
そのため、経過観察が必要かどうかについても、獣医師の指示を確認してください。異常がなかった場合でも、念のため診てもらうことが大切です。
まとめ
愛犬にとってカニは、中毒症状を引き起こす可能性のある危険な食べ物です。とくに生のカニはチアミナーゼの影響により、少量でも体調を崩すことがあります。
加熱済みであっても、塩分の摂りすぎや殻・爪による消化管の損傷が心配されるため、基本的には食べさせないようにしましょう。
万が一、生のカニを食べてしまった場合は、無理に吐かせようとせず、早期の受診を検討してください。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。