犬はパプリカを生で食べても大丈夫?赤や黄色の違いや注意点を解説
2025.10.07
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パプリカは、生でそのまま食卓に並ぶことも多い野菜です。 そのため、誤って落としたときに愛犬が食べてしまっても大丈夫なのか、不安に感じる方もいるかもしれません。
本記事では、生のパプリカを犬にあげても問題ないのかを解説します。赤や黄色の違いや、あげるときの注意点についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
わんちゃんはパプリカを生で食べても大丈夫?
結論から言うと、わんちゃんはパプリカを生で食べても問題ありません。パプリカは、ピーマンと同じナス科トウガラシ属の植物で、苦みが少なく、肉厚で甘みがあることからわんちゃんにも食べやすい野菜です。
栄養素も豊富で、健康を意識したごはんに取り入れるご家庭も増えています。生でも問題ありませんが、あげる時は加熱してやわらかくしてから愛犬に食べさせてあげましょう。細かく刻むと消化しやすくなり、のどに詰まらせる心配も軽減されます。
パプリカの栄養素と赤や黄色の違い
パプリカには、愛犬の健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれています。赤パプリカと黄パプリカには、それぞれ特徴的な成分が含まれており、色によって含有量に違いが見られます。
ビタミンC
パプリカに多く含まれる代表的な栄養素のひとつ。強い抗酸化作用を持ち、老化防止や免疫機能を高める働きがあります。
ストレス耐性の向上や病気への抵抗力をつける効果も期待されており、赤パプリカの方が黄色よりも多く含まれています。
ルテイン
黄色いパプリカに豊富に含まれる色素成分で、視力の低下や白内障の予防など、目の健康を保つのに役立つとされています。加齢に伴う視覚機能の衰えに配慮したいわんちゃんにもおすすめの成分です。
カプサチン
赤パプリカに特有の成分で、唐辛子のカプサイシンに似た構造を持っていますが、辛味はありません。体内の活性酸素を除去する働きがあり、細胞の酸化を防いで老化の進行を穏やかにする効果が期待されます。
βカロテン
βカロテンは、パプリカに多く含まれるカロテノイドの一種で、体内でビタミンAに変換されます。皮膚や被毛の健康維持、目や粘膜の保護などに関与する栄養素で、赤パプリカの方が黄色よりも多く含まれています。
葉酸
葉酸は、細胞分裂やDNAの合成に不可欠な栄養素で、成長期や妊娠中のわんちゃんにとって重要です。不足すると貧血や発育不良の原因になる可能性もあります。
カリウム
カリウムは、体内の水分バランスを整えるミネラルのひとつです。細胞内の浸透圧を一定に保ち、神経の伝わり方や筋肉の動きを支える働きがあります。
血圧を安定させるうえでも重要で、ナトリウムの排出を助けることで、塩分を多く摂ったときの負担をやわらげる効果が期待されます。
食物繊維
パプリカには可溶性と不溶性の食物繊維の両方が含まれています。可溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがあり、不溶性食物繊維は便のかさを増やして排便を促進します。
血糖値の急激な上昇を抑え、整腸作用による体調管理にも役立ちます。
愛犬にパプリカをあげるときの注意点
パプリカは、わんちゃんが食べても大丈夫な野菜ですが、体質や健康状態によっては注意が必要なケースもあります。取り入れる前に知っておきたいポイントを確認しておくとよいでしょう。
腎臓や心臓に疾患のある子には控える
パプリカに含まれるカリウムは、腎臓や心臓に疾患があるわんちゃんにとって負担になることがあります。このような場合は、あえて食事に取り入れる必要はありません。
療養食を食べている場合や、持病を抱えている愛犬も同様に控える方がよいでしょう。とくに、年齢とともに体の機能が低下しやすいシニア犬には注意が必要です。
大量摂取による中毒の可能性
パプリカには「アルカロイド」と呼ばれる天然成分が、微量ながら含まれていることがあります。大量に食べた場合、ごくまれに嘔吐や下痢などの中毒症状が見られることがあるため注意が必要です。
どのような食材でも、特定のものばかりをあげ続けるのは避けましょう。栄養の偏りを防ぐためにも、いろいろな食材を組み合わせて取り入れることが大切です。
ヘタやタネは取り除く
パプリカのヘタやタネは消化に悪く、飲み込むと喉に詰まる恐れがあります。果肉部分もそのままでは大きすぎるため、やわらかく加熱し、細かく刻んでから食べさせるとよいでしょう。
調理の際は、塩や油、香辛料は使わず、蒸す・茹るなど無味調理を心がけてください。
パプリカを食べてもよい量の目安
パプリカは栄養豊富な野菜ですが、偏った食事は愛犬の健康を損なう原因になります。食べさせる際は、1日の摂取カロリーの10%以内に抑えるのが理想的です。
以下は、体重ごとのおおよその目安量です。
体重の目安 | 1日あたりの摂取量目安 |
小型(2~5kg) | 67g~134g |
中型(6~15kg) | 153g~305g |
大型(20~50kg) | 378g~752g |
加熱調理によってかさが減ることも考慮しつつ、食事全体のバランスを見ながら少しずつ取り入れましょう。
まとめ
パプリカは栄養価が高く、愛犬の健康を意識した食事に取り入れやすい野菜です。生でも食べられますが、加熱して細かくした方が消化にやさしく、のどに詰まる心配も減らせます。
初めての場合は体に合わないこともあるため、少量から様子を見ながら取り入れるとよいでしょう。注意点や適量を踏まえたうえで、食事に加えてみてください。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。