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犬にアボカドは中毒の危険あり!食べたときの症状や対処法を解説

2025.07.05

コラム

犬にとってアボカドは、中毒を引き起こす可能性がある危険な食材です。本記事では、愛犬が誤ってアボカドを食べてしまった場合の症状や対処方法について、詳しく解説します。アボカドがなぜ愛犬に良くないのかについても触れているので、もしものときの参考にしてください。

わんちゃんはアボカドを食べてはいけない

アボカドにはペルシンという中毒の原因となる成分が含まれており、皮や種にとくに多く含まれています。未成熟のアボカドほどペルシンの含有量が高く、わんちゃんが食べてはいけない食材です。

また、アボカドは高脂肪で高カロリーであることから、肥満や膵炎を引き起こす危険もあります。とくに、日本でよく見かけるグアテマラ産のアボカドはペルシンの含有量が多いといわれ、わんちゃんだけでなく、猫やウサギ、ハムスター、鳥にとっても有害です。

わんちゃんがアボカドを食べてしまった時の症状

愛犬がアボカドを食べてしまった時は、以下のような症状がないか、よく観察することが重要です。

  • ・食欲がない
  • ・嘔吐する
  • ・下痢をする
  • ・お腹を痛がる

 

食べてしまった部位が果肉のみで少量であっても、誤食に気付いた時点で速やかに受診し、食べた量や時間を伝え、獣医師の指示を仰ぎましょう。食べた量やわんちゃんの体重、代謝能力によっては致命的になるので、吸収される前に吐かせる処置が必要になります。

特に以下のような症状がみられる場合は危険な状態です。

  • ・頻繁に吐く
  • ・けいれんする
  • ・全身や肢がむくむ
  • ・呼吸が荒い、息ができない
  • ・喉を掻こうとする、苦しがる
  • ・湿った咳をする
  • ・赤い痰を吐く
  • ・舌が白色や紫色に変色している

 

なお、種や皮を食べてしまった場合や大量に食べてしまった場合は、症状に限らず早めに受診してください

症状が出るまでの時間

アボカドを食べてから症状が出るタイミングは、早ければ数時間、遅ければ1日以上経ってから現れることもあります。嘔吐や下痢、食欲不振などの軽い症状から、けいれんや呼吸困難といった重い症状まで幅広く見られるため注意が必要です。

消化や吸収が進むと中毒症状が悪化する恐れがあります。食べた後は、3日間は目を離さず、しっかりと経過観察することが大切です。症状が出た場合は、早めに受診しましょう。

わんちゃんがアボカドをどれくらい食べると危険?

愛犬がアボカドを少量食べてしまったとき、とても心配ですよね。ただし、舐めた程度やごく少量であれば、すぐに症状が出ないこともあります。

一方で、皮や種は少量であっても中毒症状のリスクが高いので注意が必要です。食べた量に関係なく、食欲がない、元気がないなどの異常が見られた場合は、すぐに獣医師へ相談しましょう。

愛犬がアボカドを食べてしまった場合の対処方法

愛犬がアボカドを食べてしまった場合、自宅でできる応急処置はありません。まずは落ち着いて、食べた時刻や量、食べた部分(果肉、皮、種など)を詳しく記録しましょう。記録することで、受診が必要になったときに獣医師に正確な情報を伝えられます。食べた後の残ったアボカドを持っていくのも良いでしょう。

また、かかりつけの動物病院が夜間も対応しているか、あらかじめ確認しておくことが大切です。夜間診療していない病院であれば、先に連絡して夜間連絡が取れるかを確かめておきましょう。かかりつけが対応していない場合は、夜間診療が可能な病院を探しておくことが重要です

なお、アボカドの種を飲み込んでしまった場合は、症状がなくてもすぐに受診してください。アボカドの種は非常に硬く、消化されずに胃や腸に留まることがあり、その結果、腸で詰まって腸閉塞を引き起こす可能性があります。

腸閉塞になると、ぐったりする・下痢・嘔吐・食欲不振などの症状が現れ、最悪の場合は命に関わる深刻な状態になることも。そのため、アボカドの種を飲んだときは、早めの対応が必要です。

病院での治療方法は?

アボカドを愛犬が食べてしまった時は、病院で次のような処置が行われます。

  • ・レントゲンや腹部エコーでの検査
  • ・血液検査
  • ・嘔吐処置や摘出処置
  • ・点滴や薬による治療
  • ・必要に応じた開腹手術

 

アボカドの種を喉や食道に詰まらせた場合は、ピンセットや内視鏡で取り出すほか、薬で嘔吐させる処置(催吐処置)が行われることがあります。また、種が詰まっている場所を特定するため、レントゲンや腹部エコーを使用する可能性もあるでしょう。必要に応じて血液検査を行うこともあります。

嘔吐や下痢が続くときは、脱水を防ぐために点滴による水分補給が必要です。腸閉塞を起こしている場合は、開腹手術が検討されます

わんちゃんのアボカド誤飲を防ぐ方法

愛犬のアボカド誤飲を防ぐためには、家族全員の協力が不可欠です。アボカドはわんちゃんにとって中毒を引き起こす危険な食材であることを、家族全員が把握しておく必要があります。アボカドを調理するときは、廃棄した皮や種を誤って食べないよう、ゴミの管理に注意しましょう。

また、アボカド成分を含む化粧品やオイルも危険なため、愛犬の手が届かない場所に保管することが大切です。家族でルールを決めて、誤飲を防ぐ対策を徹底しましょう。

まとめ

わんちゃんにとってアボカドは中毒を引き起こす危険があり、誤って食べた場合は注意が必要です。食べてしまった場合は、「いつ」「なにを」「どのくらい」を記録し、動物病院へ相談しましょう。また、アボカドの保管場所やごみの捨て方など、愛犬が誤って口にしないよう家族全員が把握することが大切です。


Written by
監修医:小島 麻里 先生

犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。

 

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