犬は豆乳を飲んでも大丈夫?無調整と調整の違いやあげ方の注意点を解説
2025.09.03
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「豆乳って体に良さそうだけど、わんちゃんにあげても大丈夫?」そんな疑問を持つご家族も多いはずです。豆乳には無調整や調整など複数の種類があり、選び方に迷う場面もあるかもしれません。
本記事では、愛犬に豆乳をあげる際のポイントや注意点を解説。量の目安や取り入れ方も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
豆乳は愛犬が飲んでも大丈夫
豆乳は、わんちゃんが食べたり飲んだりしても問題ない食材です。体に有害な成分は含まれておらず、高たんぱくで栄養価が高い点も魅力です。
さらに、カロリーが低めなため、体重管理中のわんちゃんにもあげやすい特徴があります。植物性のたんぱく質として取り入れやすく、一部のドッグフードやおやつにも原材料として使われています。
ただし、総合栄養食のドッグフードをしっかり食べているわんちゃんであれば、豆乳をあえて食べる必要はありません。
あくまで補助食材とし、目的に応じて無理のない範囲で取り入れることが大切です。初めて飲ませる場合には、少量から様子を見ながら始めてください。
豆乳の栄養素と効果
豆乳には、わんちゃんの健康を支える栄養素が豊富に含まれています。
- ・大豆たんぱく質
- ・大豆イソフラボン
- ・ミネラル(カルシウム・鉄・マグネシウムなど)
- ・オリゴ糖・乳酸菌
- ・リン脂質(レシチン)
- ・サポニン
- ・炭水化物
これらの成分の中でも注目したいのが、大豆たんぱく質と大豆イソフラボンです。大豆たんぱく質は、筋肉や皮膚、被毛などをつくる材料となる栄養素。成長期や活発に動く愛犬にとっては、とくに重要な成分です。
大豆イソフラボンには抗酸化作用があるとされており、老化のスピードをゆるやかにする働きが期待されています。
また、オリゴ糖や乳酸菌は、腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整える働きがあるといわれています。細胞膜の主成分であるレシチンは、細胞の機能維持に関わる成分のひとつ。ミネラル類も含まれており、体内のバランスを保つ役割があります。
このように、豆乳にはさまざまな栄養素が含まれており、あげる理由が明確であれば、愛犬の健康をサポートする補助食材として役立ちます。
愛犬への豆乳のあげ方
愛犬に豆乳をあげる前に知っておきたいポイントをご紹介します。種類の選び方や適量、あげ方の工夫などを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
無調整豆乳を選ぶ
豆乳には「無調整豆乳」「調製豆乳」「豆乳飲料」の3種類があります。何も味付けされていないそのままのものが無調整豆乳で、大豆と水のみで作られているのが特長です。わんちゃんが飲む豆乳として適しています。
調製豆乳は、塩や砂糖などを加えて飲みやすくしたもの。豆乳飲料は、果汁や甘味料で風味を加えているタイプが多く見られます。
人向けに味付けされた豆乳は、愛犬の体に負担をかけるおそれがあるため、あげないようにしてください。
体格別の豆乳目安量
わんちゃんに豆乳をあげる量は、愛犬の体格によって異なります。ドッグフード以外の食材は、1日に必要なカロリーの約10%以内にとどめるのが基本とされており、豆乳を取り入れる際も、この目安を基準に量を決めることが大切です。
【1日の目安量】
体重の目安 | 豆乳の目安量(1日あたり) |
小型犬(2〜5kg) | 約44〜86ml |
中型犬(5〜10kg) | 約86〜146ml |
大型犬(10〜20kg) | 約146〜244ml |
愛犬の体質や消化の具合によっても、適量は異なります。はじめは舐める程度から少しずつ試し、体調に変化がないかよく観察してください。
体に少しでも異変が見られた場合は使用を控え、すぐにかかりつけの動物病院へ相談するようにしましょう。
手作り豆乳シチューやスープに加工
豆乳はそのまま飲ませるだけでなく、手作りごはんの材料としても活用できます。野菜や鶏肉を加えた豆乳シチューやスープにすれば、栄養バランスを整えながら、美味しく取り入れられるのが特長です。
豆乳を使ったレシピは種類が多く、愛犬の好みや体調に合わせて工夫しやすいのも魅力。手作りごはんを取り入れたいと考えているご家族にとっても、気軽に取り入れやすい食材です。
愛犬に豆乳をあげる際の注意点
豆乳には栄養がある一方で、体質や健康状態によっては気をつけたい点もあります。すべてのわんちゃんにとって適しているとは限らないため、あげる前に注意点をしっかり確認しておきましょう。
大豆アレルギー
豆乳に含まれる「大豆たんぱく質」は、わんちゃんによってはアレルゲンとなることがあります。体質に合わない場合、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみなどの症状が出ることも。
こうした反応が見られたときは、大豆アレルギーの可能性を考慮し、すぐに豆乳の使用を控えるようにしましょう。初めてあげる場合は、ごく少量から体調を確認することが大切です。
肝臓・腎臓・尿路結石症の愛犬は注意
豆乳に含まれるミネラル成分、マグネシウム・リン・カルシウムなどは、体内のバランスが崩れると代謝に負担をかけ、肝臓や腎臓の機能に影響を及ぼすおそれがあります。
とくに、マグネシウムとリンの組み合わせは、ストルバイト結石の原因になることがあるため注意が必要です。
体質によっては、豆乳の摂取で結石ができやすくなるケースもあります。過去に結石症と診断されたことがある愛犬や、尿のトラブルを抱えている場合は、豆乳の使用を控えるか、かかりつけの動物病院に相談してから取り入れるようにしてください。
子犬やシニア犬にあげるのは控える
豆乳は、あえて取り入れる必要のない食材です。特別な目的がない場合は、成長期の子犬や体の機能が衰えやすいシニア犬にあげるのは控えてください。
消化機能が未熟または低下している時期は、豆乳のたんぱく質や脂質が負担になることがあります。
まとめ
豆乳は、無調整のものであれば愛犬にあげられる食材です。高たんぱくで低カロリーな栄養バランスが特長ですが、量やあげ方には注意が必要です。
大豆アレルギーや持病がある場合は飲ませるのを控え、万が一飲んでしまった場合は動物病院に相談するようにしてください。愛犬の体調やライフステージに合わせて、無理のない範囲で取り入れるようにしましょう。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。