犬に牛乳をあげても大丈夫?飲んでしまったときの対処法や代替ミルクも紹介
2025.07.07
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牛乳はカルシウムやミネラルが含まれることから、愛犬の体にも良さそうな印象を持たれやすい飲み物です。しかし、わんちゃんにとって牛乳は、下痢や嘔吐を引き起こす可能性のある飲み物です。本記事では、飲んでしまったときの対処法や症状について解説します。代替ミルクの紹介も行っていますので、愛犬に牛乳をあげようか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
わんちゃんが牛乳を飲んではいけない
わんちゃんにとって人間用の牛乳はおすすめできません。その主な理由は、牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」が消化の負担になりやすいためです。
乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)は成長とともに減っていくため、体内で処理しきれず下痢などの不調につながることがあります。
また、牛乳に含まれるタンパク質や脂肪分、カルシウムが影響するケースも少なくありません。アレルギーを持つわんちゃんでは、皮膚炎やかゆみを引き起こす可能性もあります。
牛乳は少量であっても体調を崩すおそれがあるため、人間用の牛乳は避けた方が無難です。
愛犬が牛乳を飲んでしまった!症状と対処法
愛犬が牛乳を飲んでしまった場合、次のような症状が見られることがあります。
- ・下痢、軟便
- ・嘔吐
- ・皮膚炎、かゆみ
- ・脱水症状
牛乳が体に合わない場合、半日以内に下痢をする可能性があります。下痢が続くと脱水症状のリスクも。愛犬がぐったりしている場合は、早めにかかりつけの獣医師に相談することが重要です。
わんちゃんにとって危険な牛乳の摂取量
牛乳の摂取量に関係なく、わんちゃんの体に負担がかかる可能性があります。時間がたってから下痢や嘔吐が発生する可能性や、見た目に異常がなくても体内で影響が出ている可能性も否定できません。
そのため、牛乳の摂取量にかかわらず、早めにかかりつけ医に相談することが重要です。受診時には、飲んだ量や時間を記録しておくと、診断がスムーズに進みます。
牛乳以外の乳製品
わんちゃんが飲んでも大丈夫な乳製品をいくつかご紹介します。ただし、すべてのわんちゃんに合うわけではないので、最初は少量から試してみてください。
ヨーグルト
ヨーグルトは牛乳を発酵させた乳製品で、発酵過程で乳糖が一部分解されます。そのため、牛乳に含まれる乳糖の量が少なくなり、わんちゃんにも比較的あげやすい食材です。
ただし、乳糖が完全に分解されるわけではないため、最初は少量からあげて様子を見ましょう。ヨーグルトには腸内環境を整える乳酸菌も含まれており、腸の健康をサポートする効果が期待できます。
なお、ヨーグルトは加糖ではないプレーンタイプを選び、人肌程度に温めてからあげましょう。
犬用ミルク
わんちゃん専用に調整されたミルクは、乳糖を除去してあるため下痢をしにくい飲み物です。ただし、脂肪分が含まれているため、過剰にあげると肥満の原因になることがあります。
そのため、食事の補助としてあげるときには量に注意が必要です。食欲が落ちているときは、ドッグフードを犬用ミルクでふやかしてあげると、食べやすくなります。水分補給として利用するときは、お湯で少し薄めてからあげましょう。
ヤギミルク
ヤギミルクは牛乳に比べて乳糖が少なく、消化がしやすいため、わんちゃんにとってより適した飲み物です。脂肪球が小さく、栄養の吸収も良いとされています。
さらに、牛乳アレルギーを引き起こす原因のひとつである「アルファガセイン」が少ないため、アレルギー反応を引き起こすリスクも低くなります。牛乳よりも匂いが強いことがありますが、わんちゃんにとってはそれほど気にならないようです。
アーモンドミルク
アーモンドミルクには乳糖がほとんど含まれていませんが、すべての商品に当てはまるとは限りません。市販品の中には、甘味料や添加物が含まれているものもあり、成分表示をしっかり確認することが大切です。
また、脂質の多い食材でもあることから、わんちゃんの体に負担をかけるおそれがあります。与えすぎには注意し、日常的な使用は控えるようにしましょう。
豆乳
豆乳は乳糖を含まないため、牛乳よりも消化の負担が少ない飲み物とされています。ただし、大豆を原料としているため、下痢や腸の炎症を引き起こすとされる「サポニン」や「レクチン」といった成分が含まれており、愛犬にあげる際には注意が必要です。
また、調整豆乳や豆乳飲料には塩分や糖分、添加物などが含まれていることも多く、わんちゃんの体に負担をかけるリスクがあるため、積極的にあげるのは控えましょう。
どうしてもあげたいときは、余計なものが入っていない無調整豆乳を選んでください。水分補給や食欲が落ちたときなどに、少量を補助的に使う程度にとどめるのが無難です。
まとめ
わんちゃんにとって人間用の牛乳は消化に負担がかかりやすく、体調を崩す原因となることがあります。とくに乳糖不耐症やアレルギーのある場合は、症状が悪化するおそれもあるため、あげるのは控えた方がよいでしょう。
代替品としては、犬用ミルクや無糖のヨーグルト、ヤギミルクなどがありますが、いずれもあげすぎには注意が必要です。少しでも異変が見られたときは、早めに獣医師へ相談するようにしてください。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。