【獣医師監修】犬はお茶やほうじ茶を飲んでも大丈夫?注意点や応急処置を解説
2025.11.11
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お茶は日本の食卓に欠かせない飲み物ですが、「愛犬に飲ませても大丈夫?」と気になる方は多いでしょう。一口にお茶といっても、緑茶やほうじ茶、麦茶など種類はさまざまで、それぞれ含まれる成分や濃さが異なります。
本記事は、種類別の可否や注意点、飲んでしまった時の応急処置をご紹介します。
愛犬はお茶を飲んでも大丈夫?

わんちゃんがお茶を飲んでも大丈夫かどうかは、お茶の種類や成分によって異なります。多くのお茶は、わんちゃんの健康に悪影響を及ぼすカフェインやタンニンが含まれており、注意が必要です。
摂取量によっては、嘔吐・下痢・興奮・震えなどの軽度な症状から、けいれん・発作・不整脈などの重篤な中毒症状を引き起こす可能性があります。最悪の場合、命に関わるリスクもあるため、誤飲しないよう危険なお茶の種類を把握することが大切です。
お茶の種類ごとの可否一覧

わんちゃんにとって危険なお茶と、飲んでもよいお茶の可否について、それぞれの特徴や注意点を解説します。
カフェインを含むお茶(緑茶・抹茶・紅茶・ウーロン茶など)
カフェインの含有量が高く、わんちゃんにとって危険なお茶には次のような種類があります。
- ・緑茶(煎茶)
- ・ほうじ茶
- ・ウーロン茶
- ・紅茶
- ・玄米茶
- ・ジャスミン茶
とくに玉露や抹茶はカフェイン量が非常に多く、わんちゃんにとってごく少量でも危険性が高いとされています。
カフェインを含まないお茶(麦茶・そば茶・タンポポ茶)
カフェインを含まないお茶の種類は、以下の通りです。
- ・麦茶
- ・そば茶
- ・タンポポ茶
- ・はと麦茶
- ・黒豆茶
- ・ルイボス茶
市販の加工品には香料や塩分が含まれる場合があり、愛犬の体質によってはお腹を壊すこともあります。
また、そばアレルギーのような重い症状が出る可能性もあるため、お茶類は基本的に飲ませないようにしましょう。
その他の特殊なお茶(抹茶オレ、紅茶オレ、抹茶アイスなど)
抹茶オレや紅茶オレ、抹茶アイスには、カフェインだけでなく、わんちゃんに有害となる量の糖分や塩分などが多く含まれています。健康への負担が大きいため、口にしないよう注意が必要です。
基本的に、人間向けに作られた食べ物や飲み物は、愛犬に食べさせないようにしましょう。
わんちゃんがお茶を飲んだときの影響

お茶に含まれるカフェインやタンニンは、わんちゃんの体にさまざまな影響を及ぼすおそれがあります。症状のあらわれ方は体質により異なり、少量でも重症化するリスクがあるため注意が必要です。
ここでは、愛犬がお茶を飲んでしまったときにあらわれる症状を解説します。
軽度の場合
カフェインの少ないお茶を数口舐めた程度であれば、無症状のこともあります。しかし、数時間後に以下のような変化が出ることもあるため、経過観察が必要です。
- ・落ち着きがなくなる、そわそわする、興奮する
- ・尿の回数や量が増える
- ・呼吸がやや速くなる
- ・軽い震えや動悸
症状が悪化する場合や不安がある場合は、迷わず受診しましょう。
重度の場合
カフェインを多く含むお茶を飲むと、命に関わる深刻な症状を引き起こすことがあります。体重の軽い子や子犬は、少量でも危険です。
以下のような症状が見られたら、すぐに受診してください。
- ・激しい嘔吐や下痢
- ・全身の震えやけいれん
- ・不整脈、呼吸困難
- ・意識がもうろうとする、立てなくなる
お茶を飲んでしまったときの応急処置
お茶は種類によっては、わんちゃんにとって命に関わる危険があります。カフェインを含むお茶を飲んでしまった場合、症状が出ていなくても自己判断は禁物です。摂取するとすぐに吸収されてしまうため、すぐに対応する必要があります。
ここでは、飲んだ直後に取るべき行動と、絶対に避けるべき対応をまとめます。
飲んだ種類や量をすぐに確認

愛犬がお茶を飲んでしまった場合は、お茶の種類(カフェイン含有量)や飲んだ量、時間を正確にメモしましょう。可能であればパッケージや茶葉の袋も保管しておきます。
受診が必要になったときメモと一緒に持参すると、診察や処置がスムーズに進みます。
異常があればすぐに動物病院へ
嘔吐や下痢、震えなど、普段と違う様子が見られたら、すぐに動物病院へ連絡してください。危険なお茶(カフェイン入りなど)を飲んだ場合は、症状がなくても早めに受診しましょう。
なお、お茶パックを食べてしまった場合は、カフェインの有無に限らず、すぐに受診してください。腸閉塞のリスクもあるため、早急な対応が必要です。
自宅でやってはいけないこと
わんちゃんがお茶を飲んでしまった場合でも、自宅でできる安全な応急処置はありません。自己判断で吐かせたり、水や牛乳を無理に飲ませたりする行為は、かえって症状を悪化させるおそれがあります。
まずは、すぐに動物病院へ相談してください。
子犬・シニア犬・持病のあるわんちゃんの場合

子犬やシニア犬、持病のあるわんちゃんは、代謝や臓器の機能が未発達または低下しているため、少量のカフェインでも強く影響を受けやすい傾向があります。
また、「カフェインレス」や「ノンカフェイン」と表示されているお茶にも、微量のカフェインが含まれる種類もあるため注意が必要です。
このような理由から、種類を問わずお茶は飲ませないことが望ましいでしょう。
まとめ

お茶は種類によって危険性が異なります。カフェインを含むお茶は避け、カフェインが少ないお茶でも習慣的にはあげないようにしましょう。
誤って飲んでしまった場合はお茶の種類や量、時間を記録し、気づいたらすぐに受診するようにしてください。
なお、お茶パックを食べてしまった場合は、腸閉塞のリスクが高まるためすぐに受診しましょう。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。






