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【column】スポーツの秋!体をメンテナンスしよう

スポーツの秋!猫だって筋肉は大切


今年の夏ほど猛暑続きだった夏はありませんでした。室内飼いの猫たちは家の中の快適な環境で日々を過ごせたことと思いますが、外で暮らす猫たちには過酷な環境でしたね。

さて、秋といえばスポーツの秋!ですが、猫たちにも運動は必要なのでしょうか?猫はもともと優れた身体能力を持っています。その大きな特徴はジャンプ力、バランス感覚、柔軟性。特に助走なしで自分の体高の5倍程度の高さを跳ぶことができるジャンプ力には目をみはるものがあります。

そうした行動を支えているのが、発達した筋肉です。特に後肢の筋肉は非常に発達しており、瞬発力やジャンプ力の要になります。その筋肉のほとんどは「速筋(そっきん)」といわれる筋肉で、体を素早く動かすための筋肉です。逆に前肢には「遅筋(ちきん)」といわれる、持久力がありゆっくり動作をする時に使われる筋肉が発達しています。

猫の全体の筋肉量の60%は速筋と言われていますが、それは狩猟を行なっていた頃の名残です。獲物が現れるまでじっと待ち伏せ、現れたら瞬発力を生かして一気に仕留める。そういった狩りのスタイルが速筋を発達させてきたのでしょう。

ところで猫にとって筋力を維持することにはどんなメリットがあるのでしょう?筋肉には体を動かす、ということ以外に様々な役割があります。体温を維持し基礎代謝を維持するのも筋肉の役割ですが、そうすることで多くのエネルギーを消費することができ、肥満体型になるのを防ぐことができます。

また関節や骨の周りの筋肉は、関節が受ける衝撃を吸収し、柔軟性を保つサポートをしていますが、筋力が落ちると関節に多くの負担がかかるようになります。12歳以上の猫の90%以上が罹患していると言われる変形性関節症も、筋力をしっかり維持することで発症を遅らせることが可能になります。

筋肉を鍛えよう!


では、どうやって筋力を維持していけばいいのでしょう?後肢の速筋を鍛えるにはやはりジャンプさせることが効果的です。興味のあるおもちゃを使って、しっかりジャンプさせましょう!
またキャットタワーを使って上り下りさせるのも効果的です。勢いよく上り下りすれば速筋を鍛えることになりますし、ゆっくり何度も上り下りさせれば、前肢の遅筋を鍛えることに繋がります。シニア猫ちゃんには低い段差のキャットタワーや椅子、ソファなどを利用して、無理のない範囲でゆっくり遊んであげるといいですね。

また蹴りぐるみなどを使って、後肢でキックさせるのも効果的です。ボールや紙を丸めたものなどを投げて、走って追いかけさせたりするのもいいですね。

体型のチェックと食事の見直し


みなさまはうちの子の今の体重を正確にご存知ですか?体重測定はご自宅でできる1番簡単かつ重要な健康状態の指標です。体重の増減には必ず理由があります。体重や排泄量を自動で測ってくれる製品も出ていますので、そういうものを導入して体重管理をするのも一つの手段です。

そしてもし体重が増えていたら、体型も見直してみましょう。腰のくびれはありますか?肋骨は触れますか?ボディ・コンディション・スコア(BCS)を参考に、体型をチェックしましょう!

ボディ・コンディション・スコア(BCS)について詳しくはこちらから
【column】 目指せ理想体型! ボディコンディションスコア

今の体重・体型のチェックができたら、それが理想の体重・体型とどの程度差があるか認識しましょう。その上で1日にどの程度のカロリー、栄養素が必要かをチェックし、今食べているごはんのカロリー、タンパク質、脂質の量などを見直す必要があります。
筋肉量を維持するために必要な栄養素は、人と同じくタンパク質です。良質なタンパク質をしっかり摂ることで、全身の筋肉に栄養を与えましょう!ただしこれもその子の年齢、持病などをしっかり把握した上で改善していかなくてはなりません。特に持病がある場合は、かかりつけの先生に相談の上、少しずつ変更していきましょう。

適度な運動は猫たちのストレス発散の場となり、また飼い主とのコミュニケーションを深めることに繋がります。楽しく遊んで、美味しく食べて、健康に過ごしていきたいですね!


Written by
監修医 小林 充子 先生

麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。

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