【獣医師監修】愛犬はマグロを食べてもいい?あげる時のポイントや注意点も解説
2025.10.15
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お刺身やツナ缶などでおなじみの「マグロ」。「わんちゃんにもあげていいの?」「生で大丈夫?」と疑問に思っているご家族も多いのではないでしょうか。この記事では、マグロをわんちゃんにあげるときのポイントや注意点、適量の目安まで、丁寧に解説していきます。マグロを愛犬にあげてみたいと考える方は、ぜひ参考にしてみてください。
わんちゃんはマグロを食べられる?
わんちゃんはマグロを食べられますが、以下のポイントを押さえましょう。
- ・わんちゃんはマグロを食べてもOK
- ・脂の多い部位はあげない
- ・マグロには水銀が含まれている
- ・食中毒のリスクがある
わんちゃんはマグロを食べてもOK
マグロは、わんちゃんが食べても大丈夫な魚です。特に赤身部分は高たんぱく・低脂肪で、ヘルシーな食材として注目されています。脂肪分が少なく消化もしやすいため、おやつやごはんのトッピングとしてもぴったりです。
脂の多い部位や加工品には注意が必要
一方で注意したいのが、「トロ」など脂が多い部位。高脂肪でカロリーも高く、肥満や消化不良の原因になる可能性があります。また、味付きのツナ缶やマグロステーキなど、塩分や油分を含む加工品も控えた方が無難です。
マグロには水銀が含まれている
大型の魚であるマグロは、体に蓄積される水銀の量が多いことでも知られています。少量であれば大きな問題はありませんが、日常的にあげる食材としてはあまりおすすめできません。必要な栄養素がしっかり摂れている場合や不安な場合は、無理にあげなくても良いでしょう。
食中毒のリスクがある
マグロに含まれるヒスチジンは、「ヒスタミン中毒」という食中毒の原因になることがあります。鮮度管理を行っている信頼できる店舗で処理され、冷蔵庫で保存し、新鮮なうちに食べるのであれば問題ありませんが、一度ヒスタミンが生成されてしまうと熱処理しても分解できず、ヒスタミン中毒になりかねません。
冷凍保存する場合も、解凍は冷蔵庫内や流水で行い、常温での解凍は避けるようにしましょう。
マグロの部位と特徴
マグロは部位によって脂の含有量や食感が異なります。赤身部分はたんぱく質が豊富で脂肪が少なく、わんちゃんにとっても栄養バランスが良い部位です。特に「赤身」は低脂肪であげやすいのが魅力です。
一方で、「トロ」と呼ばれる部分は脂がたっぷり含まれているのが特徴。人間にとっては美味しくても、わんちゃんには脂質過多になってしまうことも。また「カマ」や「中落ち」などの部位も、骨がついていたり脂が多かったりすることがあるため、わんちゃんにはあげないようにしましょう。
わんちゃんが食べられるマグロの量は?
マグロは栄養価が高い反面、脂質や水銀の問題からも“たくさんあげれば良い”というものではありません。以下はおおよその目安となりますが、適量を守りましょう。
- ・小型犬:約30g
- ・中型犬の場合:約50g
- ・大型犬の場合:約100g
また、小さな子やシニアのわんちゃんの場合、消化器官が未発達だったり弱っていたりすることがあります。あげるときはごく少量からスタートし、様子を見ながら進めるようにしましょう。
わんちゃんにマグロをあげる時のポイント
わんちゃんにマグロをあげる時のポイントは以下の通りです。
- ・加熱してあげるのがおすすめ
- ・ツナ缶は塩分・油分を含まないものを選ぶ
加熱してあげるのがおすすめ
生のままでもNGではありませんが、衛生面や食中毒のリスクを考えると加熱してあげるのがおすすめ。特に免疫力が低いわんちゃんの場合は注意が必要。軽く茹でたり蒸したりして、火を通したものをあげましょう。
ツナ缶は塩分・油分を含まないものを選ぶ
ツナ缶を使う場合は、塩分や油分が含まれていない無添加のものを選ぶようにしてみてください。オイル漬けのツナ缶や味付けされた商品は、塩分や油が多く含まれるため、わんちゃんには不向きです。
わんちゃんにマグロをあげる時の注意点
わんちゃんにマグロをあげる時は、以下の点に注意しましょう。
- ・骨がある場合は取り除く
- ・食中毒に注意する
- ・アレルギーに気を付ける
骨がある場合は取り除く
マグロに骨が残っている場合は必ず取り除くようにしましょう。細い骨が、わんちゃんの喉や消化管に刺さると危険です。調理前後にしっかり確認するようにしましょう。
食中毒に注意する
生のマグロをあげる場合は、鮮度がとても重要です。市販の刺身用マグロであっても、保存状態によっては食中毒の原因になる菌が繁殖している可能性も。より心配なく食べてもらうには、一度加熱してからあげるのがベストです。
アレルギーに気を付ける
マグロに対してアレルギーを持っているわんちゃんもまれにいます。初めてあげる場合はごく少量にとどめて、体調に異変がないか慎重に観察してください。皮膚のかゆみや嘔吐、下痢といった症状が出た場合は、すぐに医療機関へ相談しましょう。
まとめ
マグロはわんちゃんも問題なく食べられる食材です。特に赤身の部分であれば高たんぱく・低脂肪なヘルシー食材として楽しめるのがうれしいポイント。適切に処理・加熱をすれば、ごはんのトッピングやごほうびとして取り入れることも可能です。
ただし、トロなどの脂身の多い部位や、加工されたマグロ製品は控えましょう。また、大型魚に含まれている水銀や食中毒のリスクにも注意しながら、適量をあげることを心がけてみてください。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。