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【獣医師監修】愛犬にマスカットをあげるのはNG!症状や食べてしまった時の対処法

2025.10.13

コラム

爽やかな甘みと香りが魅力のマスカット。人間にとってはヘルシーなフルーツとして親しまれていますが、わんちゃんにとっては危険な食材です。特に小型犬の場合、ほんの少量でも命にかかわるリスクがあります。

本記事では、マスカットがわんちゃんにNGな理由や食べてしまったときの対処法、注意点などをわかりやすくまとめました。

わんちゃんはマスカットを食べてはダメ

マスカットは人間にとってはおいしいフルーツなので、「わんちゃんも食べられるのでは?」「少しだけなら…」と感じてしまうかもしれません。しかし、マスカットはぶどうの一種であり、わんちゃんにとって危険な食材です。

わんちゃんは、マスカットを食べることでブドウ中毒を引き起こす恐れがあり、食べた量や体格にかかわらず、中毒症状が現れることがあります。最悪の場合、死亡してしまう可能性もゼロではありません。

現在も、なぜブドウやマスカットがわんちゃんにとって有害なのか、明確な原因はわかっていません。少量で重篤な症状を引き起こすこともあれば、数房食べても軽症といったように、わんちゃんによる個体差もあります。

なお、マスカットだけでなく、ぶどう全般やレーズン、ぶどうジュース、ワインなどの加工品もすべてNGです。

わんちゃんがマスカットを食べた時の症状

マスカットを食べ、中毒が考えられるわんちゃんに現れる主な症状は以下のようなものです。

  • ・嘔吐
  • ・下痢
  • ・よだれが増える
  • ・元気がなくなる、意識が低下する
  • ・尿量が少ない、または出ていない
  • ・食欲の低下
  • ・脱水症状

 

上記のような症状が見られる場合は、腎機能の低下や急性腎不全などのリスクがあるため、すぐに動物病院を受診しましょう。

わんちゃんがマスカットを食べてしまった時の対処法

気をつけていても、知らない間にわんちゃんがマスカットを食べてしまうこともあるかもしれません。わんちゃんがマスカットを食べてしまった時の対処法は以下の通りです。

  • ・急いで動物病院へ
  • ・獣医師に連絡する

 

急いで動物病院へ

わんちゃんがマスカットを食べたことが判明したら、症状の有無にかかわらず、すぐに動物病院へ連絡・受診しましょう。「元気そうだから様子見でいいかな」と思ってしまいがちですが、ブドウ中毒は進行すると急速に腎臓がダメージを受けてしまう恐れがあります。

獣医師に連絡する

どうしても受診が難しい場合は、まずは獣医師に連絡しましょう。マスカットを食べた時間・食べた量・食べた状態などをできるだけ詳しく伝えることが大切です。

動物病院での治療方法

動物病院では、わんちゃんの状態に応じて以下のような処置が行われます。

  • ・催吐処置(食べてすぐの場合)
  • ・輸液療法(点滴)、活性炭の投与
     →ほか、摂取量が多い場合は胃洗浄の処置を行うこともあります。

 

症状が進行している場合や、腎機能に影響が出ている場合、入院して継続的な治療が必要になることもあります。ぶどう中毒では、早期の発見と対処が大切です。

わんちゃんが食べると危険なマスカットの量は?

ブドウ中毒に関しては、未だ「どのくらいの量を食べると危険か」について明確な基準がありません。ごく少量でも中毒症状を起こす子がいる一方で、たくさん食べても軽症なケースもあります。

そのため、「少しくらいなら大丈夫」という判断はとても危険。マスカットを含むぶどう類は、絶対にわんちゃんの口に入らないように管理することが重要です。

キッチンやダイニングテーブルにマスカットを置いたままにしない、外出時はぶどう系のお菓子をバッグに入れっぱなしにしないなど、家庭内での管理を徹底しましょう。

マスカットの加工品もNG?

生のマスカットだけでなく、マスカットを使用した加工食品もすべてNGです。たとえば、以下のような食品にも注意しましょう。

  • ・マスカット入りのケーキやタルト
  • ・マスカット味のゼリーやアイスクリーム
  • ・マスカットのジュースやワイン

 

まとめ

マスカットはわんちゃんにとって、中毒症状を引き起こすリスクのある危険な食べ物です。食べた量や体格にかかわらず、絶対にあげないようにしましょう。もしも誤って食べてしまった場合は、すぐに動物病院に相談し、指示に従って適切な処置を受けることが大切です。愛犬の健康を守るためにも、普段から食べ物の管理には十分に気をつけるようにして、家族全員で共有するようにしましょう。


Written by
監修医:小島 麻里 先生

犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。

 

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