猫がイカを食べるとどうなる?症状や 対処法をわかりやすく解説
2025.08.13
|
猫ちゃんがキッチンでイカに興味を示しているのを見て、つい少しくらいなら…と与えてしまいそうになったことがある方もいるでしょう。しかし、イカは猫にとって危険な食べ物のひとつ。本記事では、猫がイカを食べるとどんな症状が出るのか、食べてしまった場合の対処法まで解説します。
猫ちゃんがイカを食べるのはNG
一見ヘルシーで栄養が豊富そうに見えるイカですが、猫ちゃんにはあげてはいけません。特に生のイカには、ビタミンB1を分解してしまう「チアミナーゼ」という酵素が含まれています。
ビタミンB1は、猫ちゃんにとって欠かすことのできない栄養素。神経の働きを正常に保ったり、脳の機能を守ったりと大切な役割を担っています。ビタミンB1が不足してしまうと、さまざまな不調が現れるようになってしまうのです。
たとえ加熱されたイカであっても、チアミナーゼの働きが完全に無くなるわけではありません。そのため、少量であっても基本的にはあげないことが重要です。
猫ちゃんがイカを食べたらどのような症状が出る?
猫ちゃんが誤ってイカを食べてしまった場合、チアミナーゼによってビタミンB1が壊されて欠乏し、神経や脳、心臓に異常が出ることがあります。食欲がなくなったり、いつもより元気がなかったり、ふらついて上手に歩けなかったりと、ささいな変化から始まることが多いため、しっかり様子を観察しましょう。
また、生のイカにはアニサキスなどの寄生虫が潜んでいる可能性もあります。これが体内に入ると、嘔吐や腹痛などの消化器症状が起きることもあるため、注意してください。
猫ちゃんがイカを食べてしまったらどうする?
うっかり猫ちゃんがイカを口にしてしまった場合、どれくらいの量を食べたのか、生のものか加熱されていたものか、様子はどうかなどのポイントに注意しましょう。ここでは、猫ちゃんがイカを食べてしまった場合の対処法を紹介します。
なめた程度の場合問題ないことが多い
イカをほんの少しなめた程度であれば、すぐに大きな影響が出る可能性は低いですが、最低でも1〜2日はしっかり様子を見守るようにしましょう。
特にご飯を食べる様子に変化はないか、ふらつきや元気のなさは見られないか、いつも通りの排泄ができているか、慎重に観察することが大切です。
生のイカを食べた場合や症状がでた場合は急いで受診
もし生のイカを食べてしまったり、加熱したイカをある程度の量食べてしまったり、元気がない、歩き方がおかしい、けいれんを起こしているといった症状が見られた場合には、すぐに獣医師に相談しましょう。
早期の対応によって処置がしやすくなったり、回復の可能性が高まったりすることがあります。少しでも異常があったら、かかりつけの獣医師に相談し、食べてしまった時間・おおよその量・生か加熱か、伝えるようにしましょう。
病院ではどのような処置が行われる?
動物病院では、まず猫ちゃんの体調を丁寧に確認したうえで、必要に応じて血液検査や神経学的なチェックが行われます。ビタミンB1の欠乏が疑われる場合には、ビタミンB1(チアミン)の補給を行うのが一般的です。
この処置は注射や点滴で行われることが多く、早ければ数日以内に症状が改善するケースもあります。また、体調が著しく崩れている場合には、点滴によって水分や栄養分を補給しながら、体力の回復をサポートしていきます。
イカを沢山食べてしまい、まだ胃の中に残ってると考えられる場合に、胃の中身を吐かせる処置を行います。
重症化してからの治療では回復に時間がかかることもあり、なるべくイカの消化吸収が進んでしまう前に行う方が良いため、気付いたらすぐ病院に相談しましょう。
他に注意したい魚介類
魚介類には、イカ以外にも猫ちゃんにとって危険な食材があります。たとえばタコやエビ、カニも注意が必要です。これらの魚介類にも、消化に負担がかかるタンパク質や酵素が含まれており、体調を崩すリスクがあります。
特にエビやカニは、アレルギー反応を引き起こしやすいと言われており、突然の嘔吐やかゆみ、下痢などの症状が出ることも。また、タコは硬くて消化しにくいため、胃腸に負担がかかりやすく、消化不良を起こすこともあるので注意してください。
まとめ
猫にとってイカは、避けるべき食べ物です。特に生イカに含まれるチアミナーゼは、猫にとって不可欠なビタミンB1を壊してしまうため、少量でも油断は禁物。もしうっかり食べてしまった場合は、早めの受診が大切です。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。