キャットフードはウェットとカリカリどっちが猫の餌に適してる?
2025.07.12
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キャットフードは、大きく分けてウェットフードとドライフードの2種類あります。見た目や形状が大きく異なるため、どちらを選べば良いか迷う方も多いでしょう。本記事では、猫のキャットフードに最適なごはんの選び方を解説します。人気のウェットフード9選をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ごはんはウェットとドライどう使い分ける?
日常の食事には、どちらも総合栄養食を選ぶことが大切です。総合栄養食はねこちゃんが1日に必要な栄養素をバランスよく摂取できるため、どちらか一方だけ与えても問題はありません。
ウェットフードとドライフードはそれぞれ異なる特徴があり、うまく使い分けることでねこちゃんの健康をさらにサポートできます。それぞれ詳しく見てみましょう。
ドライフード(カリカリ)
ドライフードは、ねこちゃんが食べるときの噛む音や感触から「カリカリ」と呼ばれています。コストパフォーマンスが良く経済的なため、多くの家庭で愛用されるごはんです。歯垢がつきにくい特徴があり、歯の健康を維持するのにも役立ちます。
また、開封後は袋を密閉することで「賞味期限」まで十分保存できるため、少量ずつ食べる習慣のあるねこちゃんに適しています。一方で、ねこちゃんは「ネオフィリア」という特性があり、いつも食べるごはんに飽きて食べなくなる子も少なくありません。
ウェットフード
ウェットフードは食いつきが良く、水分が多く含まれるごはんです。普段から水を飲まないねこちゃんにとって、水分補給としても利用できます。ドライフードと比較すると、価格が高く、かさばるため、置き場に困る方も多いです。
一方で、趣向性が高くねこちゃんの食いつきが期待できます。栄養の吸収率が高く、胃にも優しいため、食の細いねこちゃんやシニア猫におすすめです。ドライフードとの相性も良く、飽きたごはんにウェットフードをトッピングすると、食いつきが良くなり喜んで食べてくれます。
総合栄養食のほかにおやつも豊富に販売され、スキンシップにもなります。未開封であれば長期間保存できるため非常食としても便利です。
ドライフードとの違いは?
ドライフードは炭水化物を多く含むごはんです。炭水化物はエネルギー源となりますが、ねこちゃんは肉食動物であり、植物由来の栄養素を効率よく利用するのは得意ではありません。
一方ウェットフードは、動物性タンパク質を豊富に含んだごはんです。動物性タンパク質はねこちゃんにとって重要な栄養源で、筋肉や体の機能を維持するために役立ちます。
また、ウェットフードは水分量も豊富です。70%以上の水分を含むため、ドライフードでは補えない水分を摂取できます。水を飲まないねこちゃんや夏場の熱中症対策としても効果的です。
ウェットフードの上手な選び方
ウェットフードを主食として選ぶ際には、ライフステージや健康状態に合った総合栄養食を選ぶようにしましょう。栄養補給や水分補給などを目的にする場合は、おやつタイプを選ぶと良いでしょう。
具体的にどのように選ぶべきか、重要なポイントを以下の6つに分けて紹介します。
- ・ライフステージに合ったごはん
- ・食べやすい形状
- ・水分補給が目的なら水分量85%以上
- ・新鮮な状態で食べ切れるパッケージ
- ・不必要な添加物が含まれない
- ・ねこちゃんの好みの香り・タンパク質を含むもの
ライフステージに合ったごはん
子猫からシニア猫まで、さまざまなライフステージがあります。ねこちゃんの年齢や特徴に合わせ、ごはんも変更することが大切です。以下にライフステージごとに必要な栄養素をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
ライフステージ | 選び方 |
子猫用 | 高エネルギー・高タンパクで成長をサポートし、免疫力を高める成分が含まれているものを選びましょう。免疫力を高める成分(ビタミン・ミネラル)が含まれているものが理想です。 |
去勢・避妊後用 | 高タンパク・低カロリー・低脂肪で太りにくいものを選びます。カロリーが低すぎないように、栄養素のバランスに注意することが大切です。 |
成猫用 | 健康な体を維持するために必要な栄養素がバランスよく含まれているものを選びましょう。特に脂肪分とたんぱく質のバランスに配慮し、必要な栄養素をバランスよく摂取できるようにします。 |
妊娠・授乳期の ねこちゃん用 |
高エネルギー・高タンパク・消化に良いものを選び、子猫の成長をサポートします。消化の良さとエネルギーの高さを重視し、DHAやアラキドン酸を含むものが良いです。 |
シニア用 | 低カロリー・リンや塩分が控えめで、食物繊維が多めで体に優しいものを選びましょう。腎臓や心臓への負担を減らし、栄養のバランスを考えたものを選ぶことが重要です。 |
食べやすい形状
ウェットフードにはさまざまな形状があり、ねこちゃんの食べやすさに合わせて選ぶことが大切です。ペーストやパテ、テリーヌはなめらかな食感が特徴で、子猫やシニア猫におすすめ。ドライフードと混ぜることで、食べやすさが増します。
フレークタイプは素材本来の香りや食感が楽しめるごはんです。食べ応えがあり、ねこちゃんの食欲を引き出し満足感を与えます。
水分補給が目的なら水分量85%以上
水分を取らないねこちゃんには、補給目的として水分量が85%以上含まれるウェットフードがおすすめです。しかし、水分が多いフードは栄養素が少なくなりがちなので、栄養バランスが取れていることも確認する必要があります。
新鮮なまま食べ切れるパッケージ
ねこちゃんは新鮮なごはんを好むため、開封後はなるべく早く食べきれるサイズのパッケージを選ぶことが重要です。小分けパックや使い切りサイズのウェットフードは、ねこちゃんにとって新鮮な状態で食べやすく、無駄なく食事ができます。
開封後は、冷蔵庫で保管し翌日までには食べきるようにしましょう。保存状態が悪いと風味や栄養価が落ちてしまいます。なお、冷たい餌は好まないことがあるため、与える前は常温に戻してあげましょう。冷蔵庫の匂い移りもご注意ください。
添加物
長期保存が可能なウェットフードの中には、添加物が多く含まれていることがあります。ねこちゃんに安心して与えるためには、成分表をよく確認することが大切です。信頼できる製品を選ぶためには、以下のポイントをチェックしましょう。
【信頼度をはかる指標】
- ・ペットフード公正取引協議会に所属しているか
公正取引協議会に加入しているメーカーは、品質や表示に対する信頼性が高いです。 - ・「給与試験」クリアのものを選ぶ
通常の「分析試験」よりも、高品質な製品は「給与試験」にも合格していることが多いため、
これをクリアしている製品を選びましょう。 - ・栄養基準を満たしているか
AAFCOやFEDIAFなどの国際的な基準を満たしている製品を選ぶことで、
ねこちゃんの健康を守るために必要な栄養素が十分に含まれていることが確認できます。
ねこちゃんの好みの香り、タンパク質を含むもの
ねこちゃんは食べ物の香りに敏感で、香りが強いウェットフードに引き寄せられることが多いです。とくに新鮮な肉や魚を使用したごはんは香りが豊かで、食欲が落ちているねこちゃんにも食べやすくなります。
ただし、香りが強すぎると、逆に食べないねこちゃんもいるため、愛猫の好みに合わせて香りの強さを調整することが重要です。なお、ねこちゃんは肉食動物であるため、動物性タンパク質を豊富に含んだごはんを選ぶと良いでしょう。
ウェットフードのおすすめ9選
1. ロイヤルカナン|ユリナリー ケア ウェット
ロイヤルカナンの「ユリナリー ケア ウェット」は、ねこちゃんがかかりやすい尿路結石の形成を防ぐために、ミネラルバランスを調整したウェットフードです。
形が分かるチャンク状で、ねこちゃんが好む香りが食欲を引き立てます。総合栄養食なので、日頃の食事としてもおすすめです。
2. モンプチ|プチリュクス ナチュラル(パウチ) 厳選まぐろ
モンプチの「プチリュクス ナチュラル(パウチ) 厳選まぐろ」は、着色料や香料を使用しない無添加のウェットフードです。ねこちゃんに必要な栄養素を強化するために、合成ビタミンやミネラル、アミノ酸などを使用しています。
穀物不使用のグレインフリーで、ねこちゃんの健康に配慮されています。具がたくさん入ったタイプや、水分の多いスープタイプの2種類があり、目的に合わせて選ぶことができます。
3. シーバ|アミューズ
シーバの「アミューズ」は、スープがたっぷり入ったウェットフードです。水分補給や食欲のないねこちゃんのおやつやトッピングにおすすめ。
2種類の味が楽しめる「お魚スープ 究極の2択」も販売されており、味のバリエーションを変えながら与えることができます。
4. ロイヤルカナン|インスティンクティブ ウェット
ロイヤルカナンの「インスティンクティブ ウェット」は、ねこちゃんが本能的に好むように設計された飽きのこないウェットフードです。
12ヶ月から7歳までを対象とした成猫用で、泌尿器の健康を維持することを目的に作られています。カロリー調整が施されており、愛猫の体重管理にも効果的です。
5. 銀のスプーン|パウチ 無添加 まぐろ
銀のスプーンの「パウチ 無添加 まぐろ」は、調味料や着色料不使用の無添加ウェットフードです。ねこちゃんが好むゼリー仕立てで、魚の旨味を凝縮しています。
魚フレークを100%使用しており、ねこちゃんが喜ぶ美味しさです。銀のスプーンはフレークタイプのほか、スープたっぷりのとろみタイプや、食べやすい旨ほぐしタイプの3種類があり、好みに合わせた食感を選べます。
6. 黒缶|パウチ まぐろとかつお
黒缶の「パウチ まぐろとかつお 子ねこ用」は、DHAやEPA、鉄分などが配合されたウェットフードです。善玉菌を増やすオリゴ糖も配合されており、腸内環境を整えてくれます。
穀物を使用しないグレインフリーなので、アレルギー対策や毛ヅヤ改善にも有効です。
7. ニュートロ|デイリー ディッシュ アダルト チキン&ツナ
ニュートロの「デイリー ディッシュ アダルト チキン&ツナ」は、自然素材にこだわったウェットフードです。
ねこちゃん本来の食に合わせ動物性たんぱく質を第一主原料に使用。食べきりサイズのパウチタイプなので、いつでも新鮮なおいしさを味わえます。ニュートロでは、年齢や個性に合わせたラインナップも豊富です。
8. チャオ|ちゅ~る まぐろ ほたて味
チャオ「ちゅ~る まぐろ ほたて味」は、水分補給やおやつにぴったりの液状のおやつです。子猫やシニア猫にも与えることができます。
そのままはもちろん、ドライフードにトッピングすることも可能です。ラインナップも豊富で、飽きやすいねこちゃんにもバリエーションを持たせながら与えられます。
9. カルカン|お魚・お肉ミックス まぐろ・かつお・ささみ入り
カルカンの「お魚・お肉ミックス まぐろ・かつお・ささみ入り」は、1歳から7歳の成猫用のウェットフードです。
パウチタイプでコンパクトに収納できるため、まとめ買いしても保管場所に困ることはありません。ゼリー仕立てで水分量が多く、水分補給にもおすすめです。
【ごはんのQ&A】ウェットフードについて
ウェットフードに関するよくある質問をまとめました。
ウェットフードは歯石がつきやすい?
ウェットフード自体が歯石の原因ではありません。しかし、湿った食べ物は口に残りやすい特性があります。主食をウェットフードにする場合は、意識的に口腔ケアをしてあげましょう。
ドライフードと比較するとどれくらい高い?
ウェットフードは一般的にドライフードよりも価格が高い傾向があります。公式サイトで販売されている商品で比較すると、以下の通りです。
【体重5kg/1日あたりの目安】※公式サイト比較
メーカー | ドライフード | ウェットフード |
ニュートロ(成猫用) | 252円 | 1,507円 |
ロイヤルカナン(成猫用) | 208円 | 920円 |
※公式サイト比較(2024年12月現在の情報になります。)
選ぶごはんにより価格差は異なりますが、3倍~6倍になることも珍しくありません。価格だけでなく、ねこちゃんの健康状態や食事バランスを考慮することが重要です。
ウェットフードは水分補給や嗜好性の面で優れているため、日頃の水分量や食欲を考慮し、ドライフードとの併用をおすすめします。
ウェットフードはどれくらい日持ちする?
ウェットフードは未開封であれば、1年から3年ほど保存が可能です。開封後は、しっかりラップをして冷蔵保存し、2日以内に食べ切りましょう。
食べきれない場合は、冷凍保存も可能です。冷凍したウェットフードは解凍して常温に戻してから与えると、ねこちゃんが食べやすくなります。ただ香りが損なわれて、あまり食べてくれないというねこちゃんもいるでしょう。
まとめ
ウェットフードは水分補給や栄養補給に適したごはんといえます。おやつタイプを選べば、ねこちゃんとのコミュニケーションの時間にも活用可能です。一方で、ドライフードと比較して価格が高めなため、日常使いには注意が必要です。ねこちゃんの個性や目的に合わせて、適切なウェットフードを選びましょう。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。